群馬大学医学部付属病院 先端医療開発センター 臨床研究推進部
国立大学法人 群馬大学

群馬大学医学部附属病院 先端医療開発センター臨床研究推進部では
新薬開発のため、治験・臨床研究に取り組んでいます。

より良い「くすり」の誕生のために

めざましい「くすり」の進歩

私たちは、病気になったりけがをすると、「くすり」を飲んだり塗ったりします。「くすり」による病気の治療や予防は、20世紀後半から目覚ましい進歩をとげ、それまで治らなかった病気が治るようになったり、手術をしなくてもすむようになりました。また、遺伝子レベルでの「くすり」の研究開発には目をみはる進歩があり、患者さんの個人個人にあった「くすり」の開発も行われています。しかし、全ての病気が制圧されたわけではありません。今も、健康や生命を脅かすさまざまな病気があり、それらに対して有効な新しい「くすり」を待ち望んでいる患者さんが数多くおられます。

そのため、新しい「くすり」を開発する努力が世界中で日夜続けられてします。 新しい「くすり」を開発する努力は、効き目の強い「くすり」を見つけることだけではありません。「くすり」は人に好ましくない作用を及ぼすことがあり、そうした作用は「副作用」と呼ばれます。また「くすり」は使い方を誤れば「毒」にもなりかねません。その意味でも、100%安全な「くすり」はあり得ませんが、副作用の少ない、できるだけ安全な「くすり」を見つけることも、新しい「くすり」を開発する重要な目標になっています。

患者さんの協力で新しいより良い「くすり」が生まれる

現在、世界中で数多くの「くすり」が使われています。しかし、研究者や医師だけでは、新しい「くすり」を世に送り出すことはできません。「くすり」を開発するには、これから述べるように、患者さんのご理解とご協力が是非とも必要です。
いま使われている「くすり」も、先人の協力によって誕生したものであり、言わば「先人からの贈り物」です。新しい「くすり」を次の世代に贈るために、あなたにもご協力いただければと考えています。

「くすり」の開発のはじまり

新しい「くすり」(新薬)の開発は、製薬企業等の研究室で化学的に合成されたり、天然に依存している物質から抽出されたりした何百何千という化合物の中から、試験管などを用いた実験により、目的とする作用を持ったいくつかのものを選び出すところから始まります。
次のステップは動物実験です。ネズミ、ウサギ、イヌ、さらにはサルなどを使って、効力(有効性)と毒性(安全性)をくわしく調べ、「くすり」になりそうだと見込まれるものだけが「くすりの候補」として残されます。 そして最後に、「くすりの候補」が果たして人でどのような効き目や副作用を示すかが調べられます。人と動物では、それらの現れ方が違うからです。

「くすり」の開発に欠かせない治験

たとえば、動物ではよく効くのに人にはそれほど効かなかったり、動物では安全なのに人では副作用を起こすといったことがあります。
それは人と動物では体のしくみが違っているからで、動物実験の結果をそのまま人に当てはめることはできないのです。もしも、人での効き目や副作用を調べずに、「くすり」として広く使われるようなことになれば、病気を治せないばかりか、多くの患者さんに思わぬ副作用を起こすことにもなりかねません。

「くすりの候補」が「くすり」となるためには、どうしても人において効き目(有効性)や副作用(安全性)を調べなければなりません。
人での有効性や安全性について調べることを一般に「臨床試験」と言いますが、「くすりの候補」を国(厚生労働省)から「くすり」として認めてもらうために行う臨床試験のことを、特に「治験(ちけん)」と呼んでいます。


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